重機の価格高騰中!最新の市場情報と売却戦略への影響を解説【2025年版】

重機の価格高騰中!最新の市場情報と売却戦略への影響を解説【2025年版】

近年、重機の価格が建設・土木業界全体で上昇傾向にあります。

建築需要の回復や公共事業の増加に加え、資材価格の高止まり・原油価格の変動・物流コストの上昇など複数の要因が複合的に影響しており、企業の設備投資判断にも大きな見直しが必要となっています。

さらに、公共インフラ整備事業・都市開発・再エネ関連建設など、政府主導の補助金・支援策も市場を刺激しています。建設会社・リース業者・中古買取企業にとって、今は「売る・買う・保有する」いずれの判断も慎重に行うべき局面です。

本記事では、重機価格の高騰の背景や要因を解説するとともに、今後の相場動向を踏まえた売却戦略などをお伝えします。

目次

重機価格は本当に高騰しているのか?【最新の市場データと現状分析】

重機価格は本当に高騰しているのか?【最新の市場データと現状分析】

2020年代に入り、重機の販売価格・レンタル料金・中古相場はいずれも高騰しています。

2023年には大手重機メーカーのコマツ建機が平均10%、日立建機が平均8%の値上げを実施。リース業界にも影響が及び、建機レンタル会社の株式会社アクティオは2025年に料金を10%以上アップしています。

重機そのもの以外にも、鋼材・配管・ゴムなどの資材価格、保守用の部品や油脂類も高騰しており、供給コスト全体の上昇が発生している状況です。

重機価格の高騰は単なる短期トレンドではなく、建設・建築・土木分野を中心とした「事業投資の上昇」と「資材コストの上昇」が同時に進行する市場構造の変化が背景にあります。

【参照】
コマツ「国内市場向け建設機械、フォークリフトおよび純正部品、油脂類の販売価格改定のお知らせ」(https://www.komatsu.jp/ja/newsroom/2023/20230116)
日立建機「世界市場向け建設機械の価格改定のお知らせ」(https://www.hitachicm.com/global/ja/news/press-releases/2023/23-2-28/)
アクティオ「価格改定のお知らせ」(https://www.aktio.co.jp/news/2025/file/news20250331_01.pdf)

なぜ重機の価格は上がっているのか?【5つの要因を解説】

なぜ重機の価格は上がっているのか?【5つの要因を解説】

重機の価格上昇は、資材コスト・海外需要・供給制約・技術進化・需要増加という複数の要因が複合的に絡み合い、構造的な価格高騰局面を形成しています。

ここでは、価格高騰の主な要因として「5つの原因」を解説します。

① 鋼材・油圧部品・資材の価格上昇

まず第一の要因は、建設機械の原材料となる資材の価格上昇です。

鉄鋼・アルミ・ゴム・配管・油圧機器などの部品価格は、2021年以降に急騰しています。特に油圧シリンダー・タイヤ・配管関連資材は、世界的な原油高騰や供給制限の影響を大きく受けました。

また、建設・土木業界では資材納期の長期化が進み、在庫確保のための仕入れコスト増も顕著です。この資材費の上昇は、企業の利益率・原価管理・事業投資判断に直接的な影響を及ぼしています。

② 海外需要の拡大と輸出価格の上昇

第二の要因は、海外市場における日本製重機の需要拡大です。

東南アジア・アフリカのインフラ開発需要が急拡大しており、これが中古重機の輸出価格を押し上げています。特に日本メーカー製重機は品質と耐久性で高く評価され、国内市場より海外市場価格の方が高い状況が続いています。

さらに、円安傾向が輸出価格の上昇を後押し、国内在庫が減少することで中古価格が上昇という循環が発生。輸出志向の企業や商社にとっては売上拡大のチャンスである一方、国内建設企業にとっては調達コストの上昇リスクとなっています。

③ 納期遅延・在庫不足による供給制約

第三の要因は、供給側の制約と納期の長期化です。

新車生産の遅れや物流網の混乱により、主要メーカーの納期は平均で従来の2倍(6〜12か月)に延びており、限られた供給に需要が集中することで実勢価格が上昇しています。

また、原油価格上昇や輸送コストの増加により、輸送費・梱包費も上昇。一部企業では、「船舶運賃の高騰」や「港湾混雑」による納入遅延が続いており、海外工場からの輸入コストが上乗せされています。

④ 技術進化・環境対応型モデルのコスト上昇

第四の要因は、重機の技術的進化による製造コストの上昇です。

近年の重機は、環境対応・ICT施工支援・電動化などの要素を搭載した高付加価値モデルが主流になっています。たとえば、低燃費、排ガス規制対応、ICT搭載などの技術を搭載したモデルは、従来型よりも製造原価が10〜20%高く、販売価格の上昇要因です。

さらに、カーボンニュートラル対応に向けた電動ショベルやバッテリー式機器の開発コストも上昇中です。メーカー各社は研究開発費を増やしており、そのコストが価格転嫁される構造が定着しています。

⑤ 建設・土木業界の需要回復と事業投資増

最後の要因は、建設・土木業界における需要回復と事業投資の増加です。

公共事業の再拡大、再エネ・防災・インフラ補修などの長期案件が増加しており、業界全体の建設投資額が上昇しています。特に、地方自治体による公共インフラ整備補助事業や、国交省の建設機械導入支援制度などが追い風です。

また、土木分野では防災・河川整備・港湾強化などの中期プロジェクトが継続的に推進されており、各企業が保有重機の増強や更新を進めた結果、在庫減少と価格上昇の連鎖が発生しています。

重機価格高騰が建設・リース・買取市場に与える影響

重機価格高騰が建設・リース・買取市場に与える影響

重機価格の高騰は、単に「購入コストが上がる」だけでなく、建設・リース・買取の三市場すべてに連鎖的な影響を与えています。

各市場分野において資産サイクルが変化しており、事業構造の再設計が必要な時勢です。

それぞれの動向を順に整理します。

建設会社への影響:導入コストと利益率低下

建設会社にとって、重機の価格上昇は経営コストの直撃要因です。

新車導入費が上昇すれば、減価償却負担や工期コストが増加します。これにより、工事単価が据え置きのままでは粗利率が低下し、利益構造の見直しが避けられません。

また、近年では公共工事における予定価格(契約単価)と実勢価格の乖離が問題化しており、建設業界全体で価格調整や補助金活用が進められています。

自治体や建設団体では「物価変動時契約方式」「価格スライド条項」の導入を進めており、事業継続と利益確保の両立が求められています。つまり、「重機=資産」ではなく、利益変動リスクを抱える投資対象としての位置づけが強まっているという傾向です。

リース・レンタル事業への影響:料金上昇と需給バランス変化

リース・レンタル業界も、新車導入費用と整備費用の上昇を背景に、リース料金の値上げが進行中です。

2025年上半期の業界調査によると、主要リース企業の稼働率は90%を超え、平均リース料は前年比12〜15%上昇しています。一方で、設備更新コストや修繕コストが上昇しており、実質利益率はやや横ばいです。

また、リース市場では「人気機種ランキング」にも変化が見られます。従来は中型油圧ショベル(20t級)が主流でしたが、最近では小型・電動モデルの需要比率が上昇気味です。

このように、重機の価格高騰は単なる負担増ではなく、機種構成・契約構造・顧客動向を変えるドライバーとなっています。

中古重機市場への影響:買取価格上昇と売却タイミングの重要性

中古市場では、価格高騰が最も直接的な利益機会となっています。新車供給の遅れに伴い、中古機・展示機の需要が高まっているためです。特に「低稼働・整備済み・登録履歴が明確」な個体は、過去最高水準の査定額がついています。

また、円安局面では海外輸出向けの需要が増加し、高値取引が増加。特にアジア・中東では、日本製中古重機の人気が非常に高いため、輸出ルートを持つ業者への売却が有利です。

重機を売る場合は、「どこで・いつ売るかの判断基準を持つこと」が重要となります。中古市場の相場推移をチェックし、為替動向や輸出需要など外部要因も踏まえて売却を検討することで、最大の売却益を狙えます。

さらに、国交省や自治体による建設業者向け補助制度を活用することで、新機導入の負担を軽減しながら、旧機の高値売却+新機への更新という理想的なサイクルを構築可能です。つまり、価格高騰局面は「コスト上昇のリスク」であると同時に、資産入れ替えの好機とも言えるでしょう。

価格高騰時代の売却戦略

価格高騰時代の売却戦略

重機価格が高止まりしている今、「売り方次第で数十万〜数百万円の差が生まれる」状況になっています。

これは、価格上昇局面において中古需要が増え、良質な中古重機ほど高値で取引されるためです。

では、実際に重機を売却する場合、どのような戦略が有効でしょうか?

ここでは、高値売却を実現するための3つの具体戦略を紹介します。

① 最高値で売る:複数査定で市場価格を把握

重機を高く売る第一歩は、査定相場を正確に把握することです。

大手から地域密着型まで様々な重機買取業者がありますが、それぞれ異なる算定基準を持っています。同じ重機、同じ機体でも、業者によって100万円以上の価格差がつくことも少なくありません。

そのため、最低でも3〜5社に査定依頼を行い、平均値と最高額の差を確認することをおすすめします。

特に、海外への輸出ルートを持つ業者なら、世界中の相場価格から「もっとも高く売れる価格」で買取を行います。複数査定を行う際は、ぜひ海外に強い買取業者を候補に入れましょう。

② 整備・外観で価値を上げる:減額を防ぐ事前対策

次に重要なのは、査定前の整備・清掃による印象価値の向上です。重機の買取査定では、見た目や塗装状態が査定額に大きく影響します。

具体的には、以下のような手入れを行うだけで査定額が数%上がることがあります。

  • 外装塗装のタッチアップ(サビや剥がれ補修)
  • キャビン内の清掃(レバー・メーター・操作席)
  • 油圧ホースや配管部分の油漏れ確認
  • タイヤ・ゴムマット・バケットの清掃と交換履歴提示

こうした簡易メンテナンスにより、査定の減額要素が大幅に減少し、加点評価を受けやすくなります。

また、整備履歴や登録証の提出は信頼性を高める武器です。業者にとって「履歴が明確=再販しやすい」ため、結果的に高い評価につながります。

③ 売却タイミングを見極める:指数と相場から判断

最後に、「いつ売るか」を判断するための基準を明確にしておきましょう。

重機市場は季節・為替・公共投資の動きに敏感に反応します。価格を見極めるうえで参考になるのが、以下の3つの指標があります。

  • 建設資材価格指数:指数が上昇している局面では、買取価格も上がる傾向があります。
  • 公共工事動向・入札時期:春〜夏(4〜8月)は公共工事入札が集中し、業者が機材を確保するため相場が上がる時期です。
  • 為替と輸出需要:円安期は輸出業者が積極的に仕入れるため、高値査定を出しやすくなります。

この3指標を総合すれば、重機の「売り時」判断に役立ちます。

まとめ:市場の動向を見極め高額買取を狙おう

まとめ:市場の動向を見極め高額買取を狙おう

近年の重機市場は、資材費・需要・技術要素による価格高騰が続いています。

購入時の負担が大きい局面ですが、同時に「資産価値が上がるタイミング」でもあります。

高値で重機を売るためには、

  • 複数の業者で査定を比較する
  • 整備・清掃を徹底し、外観と履歴で信頼性を高める
  • 指数や為替動向を見て、売却タイミングを戦略的に決める

の3点を実践するだけで査定額が大幅に上がる可能性があります。

価格上昇期のいまは、所有資産の見直しと再投資の絶好のチャンスです。市場の動向と情報を正しく把握し、戦略的に最適な判断を行いましょう。

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